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産業用ヘルメット

産業用ヘルメット ( 保護帽 ) は、頭部損傷、あるいは頭部感電による危険を防止または軽 減するために使用される保護具で、厚生労働省が定める労働安全衛生法に基づく「保護 帽の規格」、「絶縁用保護具等の規格」に適合したものです。経済産業省 JIS 規格では、産 業用ヘルメットと呼ばれています。
用途としては、物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽、墜落による危 険を防止するための保護帽、頭部感電による危険を防止または軽減するための絶縁用保 護具があります。さらにそれぞれ防災用に着用したり、一般の方がご家庭の作業で使わ れたりと、使用目的や着用シーンはさまざまです。形状もスタンダードなものから、つ ば付き、フェイスカバー付きなどバリエーションも豊かに開発されています。

産業用ヘルメット技術委員会の活動

産業用ヘルメット技術委員会では、主に以下の活動を行っています。
a) JIS 規格、保護帽の規格及び絶縁用保護具規格等の検討。
b) 「保護帽の取扱いマニュアル」の検討。
c) ヘルメットの耐用年数に係る暴露試験データの集積、検討。
d) ISO/TC94/WG2( 頭部保護 ) 及び SC/14( 消防用 ) のヘルメットに関する対応。
e) 工業会推奨品の検討。
f) 各関連団体と連携し、ヘルメットの品質向上を図る。

産業用ヘルメットの重要性

保護帽を被らずに、国家規格の試験 ( 質量 5kg のストライカを 1m の高さから落下 ) を行ったらどうなるでしょう?この時頭にかかる衝撃は、なんと 39kN ~ 49kN( キロニュートン )にも達します。
過去の研究 (※注 1) により、人間の致死域は約 19kN とされています。

※注1…米国ウェイン大学(Wayne State University)1960、1961、1963年

保護帽を着用することにより、頭部に受ける衝撃を約 1/10 以下にまで軽減できるのです。
また、職場での危険は、物が落ちてきたり高所から墜落するだけではありません。実際に 座っている姿勢から後ろ向きにひっくり返って後頭部を打ち、亡くなった方がいます。
 たった 50cm の高さから鉄板の上に転倒した時の衝撃荷重を計測すると、保護帽なしでは 17kN にもなります。この衝撃は脳しんとうを超えて頭蓋骨骨折を引き起こすほどの値です。
この時もし、例え保護帽をかぶっていても、その使用用途が飛来落下物用のみでしたら、無 帽に比べて衝撃荷重は約 2/3 に減りますが、なお脳しんとうの限界域を超え、脳に障害を与 える可能性があります。ところが、衝撃吸収ライナーの入った墜落時用保護帽ならば、衝撃 荷重は約 5kN を下回ります。さらに転倒の高さを倍の 1m にしても衝撃荷重は約 7kN 程度に 抑えられることから、昨今では墜落時用保護帽の安全への有効性が見直されています。

産業用ヘルメットの安全性

産業用ヘルメットは以下の試験を行い、安全性を確保しています。

A)衝撃吸収性試験

飛来・落下物用

質量5.0kg・半径48mmの半球形衝撃面を持つ鋼製ストライカーを1mの高さからヘルメットの頭頂部に落下させる。

転倒・転落事保護用(墜落時保護用)

質量5.0kg・半径48mmの平面形衝撃面を持つ鋼製ストライカーを1mの高さからヘルメットの頭頂部及び後頭部に落下させる。

B)耐貫通性試験

飛来・落下物用

質量3.0kg・先端角度60度の鋼製円すいストライカーを、1mの高さから人型模型に被せたヘルメットの頭頂部に落下させる。

転倒・転落事保護用(墜落時保護用)

耐貫通性試験ジグにセットした帽体に、質量1.8kg・先端角度60度の鋼製円すいストライカーを600mmの高さから落下させる。

その他、各種ヘルメットに関して以下の試験があります。詳しくは各メーカーにお問合せください。

1.産業用ヘルメット(保護帽)について
 ・電気用(絶縁)試験
2.乗車用及び自動車用ヘルメットについて
 ・保持装置の強さ試験・保持性(ロールオフ)試験・周辺視野試験

お役立ち情報・資料

(産業向け)保護帽の取扱いマニュアル(PDF)

(一般向け)保護帽を防災用ヘルメットとしてご使用のお客様へ(PDF)